私信

長文を渡すにはtwitterは向いてないからここに私信を書く。



なんとなく「ミステリとは何か」とか「ラノベの定義ってなによ」みたいな議論を冷めた目で見ちゃうのでそのへん理由をまとめて論破されたい。

そもそもそんな厳密で万能な定義があるのか。

例えば「ミステリの定義って何よ」みたいなことを話す前にそもそも、その「ミステリ」という言葉は誰が口にするミステリという言葉かを決めなきゃ単一解なんてあり得ないんじゃないかな−、とか思ったり。

例えば商業的定義としてのジャンル。つまり売る側がいうミステリ。
これが多分「ミステリ」の中で一番多く使われいる使い方で、ミステリファンに対して会社が売れると思ってるかとかそういうの。だいたい書店員が店のどこに置くかで判断できる。

次に、作者的定義ミステリ。書く側が「俺はミステリを書いているぞ!」という信念を持って書いてる場合。でも作者しかミステリと思ってない場合はけっこう見る気がする。

あとは読者定義ミステリ。消費者がどう消費したか。
これこそまさに十人十色でミステリファンなんかは「これは面白いけどミステリじゃないね」とか一般的にミステリと呼ばれてる本の6割くらいに言うらしいですし。
ちなみに蝉さんは大概の本をキャラクター小説として消費するので蝉さんが手に取った本はほぼ消費者定義だとキャラクター小説。ミダスが触れたものをすべて黄金に変えるように読んだ本を全てキャラクター小説に変える能力。

まあ、このようにちょっと思いついただけで大量に定義違いが思いついたのでせめて議論する前に「誰が口に出す定義か」というのは確認し合うべきじゃないかなーとか。

厳密な定義ってぶっちゃけ必要か

客観的で万能で厳密な定義を仮に作れたとしてそれって必要なん?という気もする。
そりゃもちろん議論や持論の展開をするときには必須だと思うけど、逆に言えば議論や持論の展開に便利な定義を採用すればいいのでは、という気がする。
例えば読む商業的定義ミステリの本の3割くらいを「これはミステリじゃない」という人がいたとして。
その人が「最近のミステリはダメだ」という場合その人は読者定義ミステリよりも商業的定義ミステリを採用して語っているわけで。
ダブルスタンダートだと批判するのは簡単だけど、持論を主張するのに最も都合のいい定義というのがあって常に同一の単語を同一の意味に使用するのは不便だと思うのです。
もちろんこじれないように事前に「今回の議論は○○という言葉はこれこれこういった意味で使ってますよ」と説明するのは大切だと思うけど無理に一つの意味にするのも意味ないかなー、と。

経験的に

経験的にミステリの定義ってなによ、みたいな議論が生産的な結論を出したのを見たことがない。いや、当事者たちにとっては生産的なものがあったのかもしれないけど外から見て。

まあ、そんなんで

ついついジャンルについてあーだこーだ言ってる人を見るとなんとなく冷めた気分になっちゃうのです。
ただまあ、けっこう私の好きな人もそういう論議をやってるのできっと何かしらの意味があることで、最終的に私が納得はできなかったとしても「それなんか意味あんの?」って言ったらそれなりの解答が返ってくる物と信じてる。
でもやっぱりジャンルやとりまく環境よりも作品単体について語りたいなーとか思うのです。